退職金や年金の積立も財産分与の対象に?──忘れがちな“将来のお金”にこそ注意!

退職金や年金の積立も財産分与の対象に?──忘れがちな“将来のお金”にこそ注意!

離婚の際の財産分与というと、「預金」「不動産」「車」といった目に見える財産に目が向きがちですが、実は見落とされやすいのが、退職金や年金の積立金です。

将来の話のように思えても、「婚姻中に形成された財産」であれば、原則として財産分与の対象になります。


退職金も対象になる

退職金は、勤務先から支給される「労働の成果の後払い」ともいえる財産です。
そのため、婚姻中に勤務していた期間に対応する部分は、財産分与の対象となります。

実際に退職していれば支給額が明確ですが、在職中でまだ退職金を受け取っていない場合でも、将来の見込額を元に分与対象とするのが基本です。


「いつからいつまでの分が対象?」

退職金の全額が対象になるわけではありません。
勤続年数のうち、婚姻期間に相当する割合だけが分与対象となります。

たとえば、勤続30年中、婚姻期間が20年であれば、全体の2/3が対象となります。
これをさらに2分の1に分け合うイメージです。


忘れてはいけないその他の“将来の財産”

  • 確定給付企業年金(DB): 将来定額で支給される企業年金。評価が必要。
  • 確定拠出年金(DC)・iDeCo: 積立残高が財産として評価される。

これらは制度や会社によって開示資料が異なるため、残高証明や見込額の確認が重要です。


「退職金なんてない」と言われたら?

とくに中小企業などでは、「うちは退職金制度がない」と主張されることがあります。
しかし、本当に制度がないのか? 勤務規程上はどうか?など、慎重な調査が必要です。

退職金や年金の情報は、会社の資料や給料明細からも読み取れる場合があります。


弁護士の視点から──「将来の財産」こそ要注意!

この分野は、相手方が黙っていれば存在にすら気づかれないという点で、特に注意が必要です。
また、評価方法が分かりづらく、専門的な知見が必要になるケースもあります。

「見えない財産」ほど、抜け落ちると大きな損になります。どうぞ、早めにご相談ください。


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