預金・株・保険──財産分与でよくある3つの財産はこう分ける!証拠がカギになる領域です
預金・株・保険──財産分与でよくある3つの財産はこう分ける!
離婚の際、「どんな財産をどうやって分けるか」という財産分与の中でも、比較的分け方が明確なのが以下の3つの財産です。
- 預貯金
- 有価証券(株・投資信託・NISAなど)
- 生命保険・学資保険など(解約返戻金あり)
これらは金銭的価値が明確で、資料(証拠)も入手しやすいため、基本的には「証拠がすべてを決める領域」です。
名義に関係なく、婚姻中に増えたものは対象
夫婦の一方の名義になっていても、婚姻中に形成・蓄積されたものであれば財産分与の対象になります。
「夫名義の口座だから」「NISAは私の名義だから」などといった主張は通りません。
① 預貯金の分け方
預金残高そのものが対象になります。
ただし、使い込み・引き出しがある場合には、通帳の履歴を精査する必要があります。
怪しい出金がある場合、通帳履歴(明細)の開示を求めることも可能です。
一方で、相手が預金を隠していると疑われる場合でも、「どの銀行か」などの具体的な情報がなければ裁判所も開示を命じにくいのが実務です。
証拠がないまま「隠しているはずだ!」という主張をしても、うまくいかないことが多いので注意が必要です。
② 有価証券(株・投資信託・NISAなど)
証券口座にある株や投資信託も、婚姻中に取得した分は分与対象です。
NISA口座であっても例外ではありません。
分け方は、対象時点での時価評価が基本です。
ただし、評価時期によって金額が変動するため、基準日をいつにするかが重要です(別居日・調停申立日など)。
③ 生命保険・学資保険(解約返戻金あり)
解約返戻金がある保険は、財産分与の対象になります。
返戻金の額は、契約時期や種類、保険会社によって異なるため、証明書を取得して評価するのが一般的です。
一方で、掛け捨てタイプの保険(解約しても返戻金ゼロのもの)は、分与対象にはなりません。
補足:子ども名義の預金はどう扱う?
子ども名義の口座に預金がある場合でも、誰が、何のために入金したのかが重要です。
原則として、親が子どもの教育資金などの目的で積み立てた預金は、形式的に子ども名義であっても財産分与の対象とされます。
一方で、お年玉やお小遣いなど、子どもがもらった金銭については、子どもの固有財産として扱われるのが一般的です。
例外的に、夫婦間で「これは完全に子どものための貯金」と明確に合意していた場合などは、子どもの財産として除外される可能性もあります。
まとめ:この3つは証拠で決まる!
- 通帳のコピーや明細
- 証券会社の残高証明書
- 保険会社の解約返戻金証明書
これらの書類がすべてを決めると言っても過言ではありません。
“何となく怪しい”ではなく、“何がいくらあるかを明確にする”ことが最も大切です。
早い段階で情報を整理し、資料をそろえることで、財産分与の交渉は格段に進めやすくなります。
気になる点がある場合は、どうぞ早めにご相談ください。
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