別居したら…生活費はどうなるの? ―婚姻費用って知ってますか?―
別居したら…生活費はどうなるの?
―婚姻費用って知ってますか?―
「離婚するつもりだけど、別居中の生活費ってどうなるんですか?」
そんなご相談をよくいただきます。
実は――離婚前でも生活費を請求できる制度があるんです。それが「婚姻費用(こんいんひよう)」です。
婚姻費用ってなに?
婚姻費用とは、夫婦が別居した際に、生活費を収入の多い配偶者から少ない配偶者へと分担するための制度です。
法律の根拠は、民法760条。
夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、互いに協力し扶助しなければならない
つまり、夫婦は一緒に住んでいようが別居していようが、お互いの生活を支える責任があるということなんです。
子どもがいる場合は?
子どもが一緒に住んでいる場合、その子の生活費も含めて婚姻費用の対象になります。
ここが、離婚後に支払われる「養育費」との違いの一つです。
婚姻費用は、子どもだけでなく「配偶者自身の生活費」も含まれるのです。
「請求のタイミング」に注意!
婚姻費用は、別居したら自動的に発生するわけではありません。
原則として、請求をした時点から支払義務が発生します。
「別居して3ヶ月経ってから弁護士に相談した…」という場合、その3ヶ月分はもらえない可能性が高くなります。
ですので、早めの相談・請求がとても重要です。
金額はどう決まるの?
婚姻費用の金額は、家庭裁判所が公表している「算定表」をもとに決まります。
算定に必要なのは、基本的に以下の情報です:
- ご自身と相手の年収(源泉徴収票など)
- 子どもの人数と年齢
具体的な金額については、以下のリンクから「婚姻費用・養育費算定表」をご覧いただけます:
※例えば:夫が年収600万円、妻が年収100万円、子ども1人(7歳)で妻側に子がいる場合 → 月10〜12万円程度が目安です。
まとめ:離婚前も生活費をあきらめないで
離婚が決まっていなくても、生活が苦しいときは婚姻費用の請求を検討してください。
とくに子どもがいる場合は、「子どもの生活の安定」のためにも非常に重要な制度です。
そして何より、早めの請求が命。
「別居したけど何もしていない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。