個人再生って何?破産せずに借金を減らす制度をやさしく解説します(小規模個人再生編)
個人再生って何?破産せずに借金を減らす制度をやさしく解説します(小規模個人再生編)
「借金が返せない……でも破産はしたくない」「家や財産はできれば守りたい」
そんな方に向いているのが、個人再生(正式には“個人債務者再生手続”)という制度です。
個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に減額し、原則3年で分割返済していく手続きです。
自己破産のように財産を手放す必要がない場合も多く、「家を守りたい」「仕事に影響を出したくない」という方に利用されています。
本コラムは「小規模個人再生」について解説しています
個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類がありますが、実務ではほとんどの方が“小規模個人再生”を利用しています。
この記事では、主にこの小規模個人再生の仕組み・特徴についてご説明します。
自己破産との大きな違い:免責不許可事由がない!
自己破産では、ギャンブル・浪費・換金行為などが「免責不許可事由」として問題になります。
しかし、個人再生には免責不許可事由という制度がありません。
そのため、過去に浪費やギャンブル歴があった方でも、返済計画が成り立てば利用できる可能性があります。
「破産は難しい」と言われた方でも、個人再生なら道があることもあるのです。
借金はどれくらい減額されるの?
個人再生では、借金の金額に応じて「最低限支払うべき金額」が法律で決まっています。
よく「借金が1/5になる」と言われますが、実際には次の3つの基準のうち最も多い金額を支払うことになります。
- ① 最低弁済額:100万円(借金が500万円以下の場合)
- ② 借金の1/5:例:1500万円なら300万円
- ③ 清算価値:持っている財産と同等以上の金額
つまり、「借金が多くて財産が少ない場合に減額効果が大きい制度」です。
逆に、保険の解約返戻金や不動産、退職金見込額などの財産が多い方は、思ったより減らないこともあります(これを清算価値保障原則といいます)。
誰が利用できるの?
- 継続的な収入があること(会社員・パート・年金など)
- 借金総額が5000万円以下(住宅ローンを除く)
自営業の方も対象です(給与所得者等再生では不可)。
また、住宅ローンがある方でも、「住宅ローン特則」を使えば家を残すことが可能です(次回のコラムで詳しく説明します)。
自己破産との違いを比較してみましょう
比較項目 | 小規模個人再生 | 自己破産 |
---|---|---|
借金の扱い | 原則1/5に減額(最低100万円) | 原則すべて免除 |
財産 | 残せる(清算価値は保障) | 原則処分(自由財産除く) |
免責不許可事由 | なし | あり(浪費・ギャンブル等) |
資格制限 | なし | あり(警備員、士業等) |
債権者の同意 | 必要(過半数+債権総額の過半数) | 不要 |
補足:給与所得者等再生とは?
もう一つの制度である給与所得者等再生は、「債権者の反対があっても裁判所の判断で進められる」制度です。
しかし、返済額が「可処分所得の2年分」で、小規模個人再生よりも返済負担が重くなるため、実務ではあまり使われていません。
また、自営業者は対象外です。
おさち法律事務所では
当事務所では、個人再生に関するご相談を多数お受けしています。
「破産は避けたい」「家を手放したくない」「返せる収入はある」という方、ぜひ一度ご相談ください。
個人再生が可能かどうかの診断、書類準備、返済計画案の作成、裁判所への提出まで、全てワンストップで対応いたします。
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