「子どもに会えないのに、養育費は払わなきゃいけないのか?」──面会交流と養育費の関係を正しく知ろう
「子どもに会えないのに、養育費は払わなきゃいけないのか?」──面会交流と養育費の関係を正しく知ろう
離婚後、別居親が子どもに会えない状況が続いているにもかかわらず、養育費の支払い義務がある──この点に納得できないという声は、現場で非常によく聞かれます。
「養育費を払っているのに会わせてもらえない」 「まるで金だけ払って終わりのようだ」 そう感じる方も多いのではないでしょうか。
1.よくある誤解:「子どもに会えないなら、養育費は払わなくていい」?
これは実務上、最も多い質問のひとつです。
しかし、結論から言えば、養育費と面会交流は「別の問題」として扱われるのが原則です。
たとえ子どもに会えていなくても、養育費の支払い義務は継続します。
2.なぜ別々に考えるのか?
養育費は、親としての「扶養義務」に基づくものです。
つまり、子どもを育てるために必要な費用を、生活を共にしていない親が経済的に支えるという考え方です。
一方、面会交流は、子どもと別居親が関係を保ち、健やかな成長を支えるための制度です。
そのため、面会交流が実施されていないことを理由に、養育費の支払いを拒むことは、認められていません。
3.裁判所のスタンスは明確です
家庭裁判所では、「面会交流の実施状況」と「養育費の支払い義務」は切り離して判断されます。
たとえば、面会交流が全く行われていなかったとしても、裁判所は「養育費を免除する理由にはならない」と判断します。
同様に、「別居親が養育費を払っていないから、子どもに会わせない」という対応も認められていません。
4.どうしても納得できないときは?
面会交流が不当に拒否されていると感じる場合、面会交流調停や審判を申し立てるという方法があります。
養育費の支払いを止めるのではなく、法的手続で改善を目指すことが大切です。
5.まとめ:感情ではなく、子どもの生活と成長を軸に
別居親にとって「会えないのに払い続ける」という状況は、精神的にも大きな負担となります。
しかし、養育費は子ども自身の生活を支えるためのものであり、親同士の感情とは切り離して考える必要があります。
面会交流の問題は、別途しっかりと調整し、必要であれば法的に対応していくことが、最終的に子どもにとっても良い結果につながります。
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