財産分与は「いつの財産」を分けるの?──意外と見落とされがちな“基準日”の話
財産分与は「いつの財産」を分けるの?──意外と見落とされがちな“基準日”の話
財産分与というと、「どんな財産を分けるか?」という点に目が向きがちです。
しかし実務では、「いつ時点の財産を分けるのか」──つまり基準日も非常に重要なポイントになります。
財産は日々変動します
預金残高、投資資産、保険の解約返戻金……
これらは日をまたぐだけで金額が変わってしまうことも少なくありません。
そのため、「いつの時点の財産を基準にするのか?」を明確にしないと、不公平な結果になりかねません。
実務では「別居日」が原則
実務では、多くの裁判例や調停例において、別居日が財産分与の基準日とされています。
これは、夫婦の協力関係が事実上終了したと評価される日だからです。
たとえば、夫婦が別居して生活費のやりとりもなくなった後、どちらかが預金や保険を増やしていた場合、それを一緒に分けるのは不公平となるためです。
例外もあります
たとえば、別居していても、夫婦の協力関係が継続していたと判断される場合には、離婚時が基準日になることもあります。
逆に、同居中でも、すでに夫婦関係が破綻していた場合には、もっと前の時点が基準日とされることもあります。
実は「スタートの日」も大切です
財産分与の対象になるのは、婚姻中に形成された財産です。
つまり、起点=婚姻日(入籍日)が実務上のスタートとされるのが一般的です。
事実婚の期間や同居期間をどう扱うかは争いになりうるものの、実務では入籍日が基準になるケースが多いのが現実です。
基準日によって結果は大きく変わります
たとえば、ある夫婦がボーナス支給の翌日に別居したケースでは、そのボーナスが分与対象に入るかどうかが大きな争点となりました。
このように、わずか数日違うだけで差が生じることもあるのです。
早めの相談がカギです
基準日は、離婚協議・調停・裁判のどの段階でも争点となりうる重要ポイントです。
資料の出し方ひとつで、不利な基準日を既成事実にされてしまうこともあります。
「いつの財産を、どうやって分けるか?」──財産分与は、入り口で方向性が決まってしまうこともあります。
どうぞ早めにご相談ください。
📍おさち法律事務所
長野県岡谷市長地柴宮3-17-5 FKビル東204