住宅ローンのある家はどう分ける?財産分与での「不動産」のリアルな取り扱いとは

住宅ローンのある家はどう分ける?財産分与での「不動産」のリアルな取り扱いとは

離婚の場面で「家をどうするか?」という問題は、非常に大きな争点となります。
特に、住宅ローンが残っている不動産については、感情・実務・法的制約のすべてが交錯し、慎重な対応が必要です。

このコラムでは、財産分与における不動産の取り扱いを、ローンの有無・残債との関係・住み続ける希望など、実務上の分類に基づいて整理してみます。


まず見るべきは「ローン状況」

不動産を分ける際は、まず住宅ローンの状態を確認します。次の3パターンに分類されます。

区分状態財産分与の扱い
ローンなしローン完済済み不動産の時価全額が対象
アンダーローン時価 > ローン残高差額が分与対象
オーバーローン時価 < ローン残高原則分与対象外だが複雑

売却する?住み続ける?──次の分岐点

■ 売却する場合

  • 売却価格からローン残債を引いた差額を清算対象とします。

■ 一方が住み続ける場合

  • アンダーローンであれば、時価 − ローン残を分与対象とし、相手に清算金を支払う形に

名義変更・ローンの現実

「名義を変える」「ローンを引き受ける」――そう簡単にはいきません。
金融機関の同意がない限り、債務者・保証人の変更は実現しません

そのため、実際には「ローンはそのまま、住む側が支払を続ける」という形に落ち着くことが多いのが現実です。


最も難しいパターン──オーバーローン+住み続けたい希望

オーバーローン状態では、不動産の評価額がマイナスとなるため、基本的に分与の対象とはされません。
それでも「妻子が住み続けたい」という希望があるケースは少なくありません。

このような場合、住み続ける側がローンを背負う代わりに、他の財産分与や慰謝料とのバランスで調整するなどの工夫が必要になります。


全体まとめ(比較表)

区分処分する住み続ける備考
ローンなし売却→現金分割時価評価→清算金支払い名義変更もスムーズ
アンダーローン売却益の差額を分割差額を精算金で支払清算金の履行確保が重要
オーバーローン債務整理などで対応住む側が全負担することも財産価値はなし、調整に工夫が必要

最後に

家は金額だけでなく、「住む場所」という生活の土台でもあります。
特にお子さんがいる場合など、単純に「売ればよい」とはいかないのが実情です。

不動産の財産分与には、慎重な評価と現実的な調整が求められます。
どうぞ早めにご相談ください。現実的な対応策を一緒に検討しましょう。


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